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短評~「目には目を」

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漫画の紹介すると言ったな。いや、当初はそのつもりだったんですけどあれのレビューも書きたいこれのレビューも書きたい時間が足りないと色々な問題に遭遇していまして書くに足る充分な内容が書けなかったので内容が出来上がってて短いこちらの映画を紹介したいと思います。マイナー目な作品を紹介するという目的は果たしてるしね!

さて、本作「目には目を」は1958年に公開されたフランス映画である。役者名は限りなく省いて書きたい。この作品のメインは二人だけであり固有名詞を出す意味に乏しいからだ。なのでここは医者と商人という職業であらすじを書きたい。

あらすじ
フランス人である主人公は異国で医者をしていた。就業が終わって自宅に帰りさて寝ようかといった所で商人から電話がかかってくる。商人の妻が病気で治療してくれというのだ。医者は酒を飲んでいたというのもあり坂の下の病院に行くように言う。
次の日医者が病院に行こうとするとその途中に故障した自動車が放っておかれていた。どうやら商人の車が故障してしまったらしい。病院で医者は商人の妻が亡くなったことを知る。同僚から主人公の医者であれば助けられたと言われ罪悪感に囚われる。
そして、その瞬間から商人の復讐が始まった。
商人は巧みに医者を異国のなかでも特に厳しい場所、砂漠地帯に誘い込む。帰る手段をなくしてしまった医者は砂漠の横断を決意する。
商人は医者に同行するとあらゆる手段で彼を翻弄する。水もつき、道も分からなくなり、誰も信じられない砂漠の極限状態の中で苦しむ医者。
最後に医者は殺してくれと商人に頼む。
その時に商人は怒りを露にする。
助けられたのに放置された者の気持ちがわかったか、と。そして、商人はある方向を指差す。今度こそ真実の道でありここを抜ければ砂漠をぬけ出せると言う。
その次の瞬間、隙をついて医者は手にしたメスで商人を切りつける。医者は言う。嘘をつけ、本当の道を教えれば助けてやる。
形勢逆転だ。商人はさっき指差した方向とは別の方向に歩き出す。医者は満足して彼の後を追うが、途中で商人は倒れてしまう。商人はこの道をまっすぐ歩けば町にたどり着けると言う。 
言われた通りの道を歩き続ける医者。
カメラが医者の進む方向のずっと先を映し出す。
その先には延々と砂漠が広がっていた。

短評
本作は復讐を題材としていながらとても後味が悪い。この作品には明確な悪人が存在しないからだ。
医者は勤務外であり酒を飲んでいたんだから診察しないのも正しい。しかし、急患を無視したのは間違えているかもしれない。
商人は妻を失ったのは車の整備が出来てなかったからで医者を恨むのは間違えているかもしれない。しかし、頼りにしたのに会うこともせずに断った医者を恨むのは正しくもあるだろう。
誰もがある意味で間違えていて一方で正しい。それが疑心暗鬼と相手への無理解によってどんどん悪い方向に傾き誰も救われない悲劇的な結末に落ち込む。この作品の妙はそこだろう。普通の人がちょっとしたことから凄惨な物語に巻き込まれていく。そして悲劇的な結末に至るのを誰も止められない。
これって~が一方的に悪いでしょ、~すればよかったのに、って言うのは正しくない。それは宗教で戦争するなんて馬鹿でしょ、って言う人と同じだ。我々が視聴者という神の視点からではなく、当事者になったとき本作と類することが現実で起こったときも同じことが言えるだろうか。

それで今回の映画の教訓なのですが、車はちゃんと整備しようね!ということです。
以上、短評でした。